“Colors As They Are” について

Two toddlers ride tricycles in a colorful outdoor playground surrounded by trees and play equipment. A bright red slide and climbing structure are visible in the background, adding to the cheerful atmosphere of the park.

――「フォトポトラック’25」出展作品の背景と、アーティスト・Mayaraさんとのこと

公園遊びと、365日の日常写真

Two young children run along a wooden boardwalk surrounded by lush greenery and vibrant red hibiscus flowers.
EyeMama Project写真集に選ばれた1枚

「フォトポトラック’25」に出展している作品 “Colors As They Are(きらめく 姉妹それぞれの色)” は、2022年に私が取り組んだ「365 Project」から生まれた一枚をもとにしています。

当時、2歳と4歳だった娘たちと過ごした日々。
週末になると、遠出よりも、近所の公園で砂だらけになって遊ぶことの方が、なにより大切でした。

そんな毎日の、小さな喜びや葛藤。
育児の中であっという間に過ぎ去ってしまう一瞬一瞬を、カメラで記録し続けたのがこのプロジェクトです。

ご近所のエコル戸越にて

一眼レフで毎日1枚撮る。誰かに見てもらう。
そのルールが、私にとっての「視点のスイッチ」になりました。娘たちが少々“やらかして”も、「貴重な出来事が起きた!」と思えるようになった。
365Projectは、子育ての日々をちょっと面白く、前向きにしてくれる魔法のような存在でした。

2022年1〜3月、4〜6月に撮影した365Projectの2冊のフォトブックも展覧会の会期中にご覧いただけます。コラボ作品の前後に続く写真も、ぜひページをめくってみてください。

Mayaraさんとの出会いと共通点

この365 Projectに、メキシコから日本に移住してきた刺繍アーティスト・Mayaraさんも参加していました。

彼女が暮らす埼玉県本庄市は、偶然にも私の実家のある街。

さらに2023年、世界中のママフォトグラファーの作品を集めた「EyeMama Project」に、私とMayaraさんそれぞれの作品が収録されたこともあり、私たちは自然とつながっていきました。
お互いに娘が二人いることも、どこか似たような日常を過ごしているような感覚も。

ごっこ遊びが大好きな姉妹です

写真に写っていない“物語”を、刺繍という手仕事でそっと浮かび上がらせる彼女の作品に、私は強く惹かれました。
やりとりを重ねる中で、彼女もまた母であり、家族の記憶や日常の断片を大切にしていることを知り、「いつか一緒に作品を作ってみたい」という気持ちがふくらんでいきました。

「刺繍をお願いしてもいいですか?」

2025年初め。Mayaraさんが参加するグループ展が東京で開催されると知り、その時に思い切ってお願いしてみました。

「私の写真に刺繍を重ねてもらえませんか?」

Mayaraさんは快く応じてくださり、今回のコラボレーションが始まりました。

Mayara in front of Libest gallery YUU
吉祥寺のリベストギャラリー優にて

どんな刺繍にする?

選んだ写真は、私にとっても印象深い1枚。
よく遊んだ、通称ブーブー公園で娘ふたりはそれぞれ別の三輪車に乗っています。そして二人の視線は長女は後方にあるカゴに・・・。

「カゴの中には、何が入っていたの?」
刺繍の構想を考える中で、Mayaraさんが尋ねてくれました。

そのとき私は、写真を撮った日のことを正確には思い出せず、慌てて365Projectのフォトブックを遡りました。
すると、同じ日に撮った別のカットが見つかり、姉のカゴにはお世話人形のメルちゃん、妹のカゴにはピンクのテディベアが入っていたことがわかりました。やりとりを重ねるなかで、この日のことだけでなく写真の“まわり”にあるストーリーが浮かび上がり、「どこに、どんなふうに刺繍を施すか」を一緒に考えていきました。

最初はそのぬいぐるみたちを刺繍で描き出す案もありましたが、最終的には、姉妹それぞれの内なるかがやきを表す抽象的なかたちへと昇華されていきました。

この日は2つの公園をはしご。別の公園でも人形を取り出して遊んでいます。
Pink Teddy bear in the kids tricycle basket
ぶーぶー公園での別カット。カゴの中に、ピンクのテディベアが入っていました。

“Colors As They Are” とは

フォトポトラック’25に展示した 、写真x刺繍作品 ”Colors As They Are” 

タイトルに迷いはありませんでした。
“Colors As They Are”─”きらめく 姉妹それぞれの色”

似ているようで、まったく違うエネルギーに満ちた姉妹。

二人の娘たちが、それぞれの内側からにじませている色。

これから成長を重ね、大人になったときにどんな色が濃く育っていくのかは、まだわからない。
でも、今この瞬間にもカタチが違うきらめきが確かに存在しています。

Mayaraさんは、私の希望を丁寧に受けとめながらも、彼女自身の感性と技術で、写真にまったく新しい表情を与えてくれました。

完成した作品は、撮影した“あの時”から、制作を経て“今”に至るまで、そしてこれから先の未来へと続く、時間が折りたたまれているような不思議な感覚をまとっています。

その瞬間をありのままに写した写真に、Mayaraさんの糸が、力強くもやさしい願いのような想いを添えてくれました。

色を「のせる」のではなく、色が「飛び出してくる」ような刺繍。
写真と手仕事、それぞれの魅力が響き合った一枚になったと思っています。

刺繍作品のご相談について

このような「写真 × 刺繍」のコラボレーション作品の制作も承っています。
家族の記録、大切な一枚に、Mayaraさんの刺繍で物語を加えてみませんか?

ご興味のある方は、飯村みほのホームページより、お気軽にご相談ください。

グループ展詳細

“Colors As They Are” は2025年6月20日から7月2日まで、戸越銀座商店街にあるフォトカノンの「フォトポトラック’25」に出展します。総勢27名が参加する写真展です。

Detailed information about Photopotluck'25

展示名: フォトポトラック’25
会期: 2025年6月20日(金)〜7月2日(水)
会場: フォトカノン戸越銀座店 ギャラリースペース
公式ブログ: https://www.tumblr.com/photopotluck2025